ビデオカードの基礎知識
画面出力・動画再生を強化するビデオカード
ビデオカードとは、画面出力・動画再生を担うデバイスです。
グラフィックボードとかグラボとかいわれたりします。
マザーボードには、オンボードグラフィックやCPU内蔵のグラフィック機能があり、最近のマザーボードにはほとんどが HDMI、DVI、VGAなどの画像出力端子が複数付いています。
なので自作パソコンでは必ずしもビデオカードが必要というわけではありません。ただし3Dゲームなどの再生、動画の編集・エンコードなどではビデオカードがあるのとないのでは差がついてきます。
このページでは自作パソコンで使用するビデオカードの特徴やメリットについて解説しています。
規格
ビデオカードは現在 PCI-EXPRESS(ピーシーアイエクスプレス)という接続規格です。
なのでマザーボードにも、PCI-EXPRESSのスロットは必ずといっていいほど付いています。
以前は AGPという接続規格もありましたが、AGPは旧規格になります。旧規格のマザーボードもまだ使用されていることから、AGP規格のビデオカードは少数ではありますが市販されています。
世代
PCI-EXPRESSには、PCI-E 2.0やPCI-E 3.0という世代があります。
分かりやすく言うと、USB2.0とUSB3.0、SATA2.0とSATA3.0などと同じで、PCI-E 2.0の次に出てきたのが PCI-E 3.0です。ともにマザーボードのPCI-E x16
スロットに接続します。
転送速度が PCI-E 3.0対応のビデオカードの方が早いと考えます。
PCI-E 3.0のビデオカードは、PCI-E 3.0に対応したマザーボードに接続した時に初めて PCI-E 3.0の性能が発揮されます。
基本的に互換性があるため、PCI-E 2.0のビデオカードを PCI-E 3.0のマザーボードに取り付けたり、PCI-E 3.0のビデオカードをPCI-E
2.0に取り付けても動作します。ただし上限速度はともに下位互換のため PCI-E 2.0となります。
PCI-E 3.0対応のマザーボードは、マザーボードの仕様書などで確認できます。対応している場合は GEN3とも表記されます。
GPUとグラフィックメモリー
ビデオカードの性能を決まるのが、GPU(グラフィックチップ)です。
NVIDIA社のGeforceシリーズとATI社のRadeonシリーズとがあります。
GeforceとRadeon
またワークステーション向け(業務向け)には NVIDIA社のQuadroシリーズとATI社のFireproシリーズもあります。
QuadroとFirepro
同じ製品でも搭載されているグラフィックメモリーが512MBや1GBなど異なるときもあります。メモリーが多いほうが性能的にはやや上になります。
出力端子
ビデオカードの出力端子の種類や数は、ビデオカードによって異なります。
最近のビデオカードではDVI×1、VGA×1、HDMI×1が一番多くなってきています。
補助電源
ビデオカードは電源を消費しますので、電源供給は必要です。
マザーボードのPCI-E スロットからも電源は供給されていますが、これだけでは不足するため補助電源が付いています。
性能の低いビデオカードでは、マザーボードのPCI-E
スロットからの電源で足りるので、補助電源は付いていませんが、性能の高いビデオカードほど消費電力も高くなるため、電源ユニットからの電力も必要となります。
補助電源には、6ピン×1、6ピン×2、6ピン+8ピン、8ピン×2などの組み合わせがあり、ビデオカードによって異なります。性能の高いビデオカードは 8ピン×2となります。
長さ
ビデオカードの長さは、ビデオカードによって異なります。
一般的に性能の高いビデオカードほど、排熱を促すためファンが2つ付いていたり、ヒートシンク部分が大きくなるためです。また高性能なビデオカードにはGPUを2つ搭載しているものもあります。
以前のものに比べると、ビデオカードは性能が高い割に長さが短めになっている傾向はあります。
ビデオカードの長さは、ケースとの兼ね合いがありますので、長さのあるビデオカードは、ミニタワーのケースでは収まらないということもあります。
ミニタワーのケースと長いビデオカードの組み合わせでは少し注意する必要があります。
スロットの占有
1スロット占有とか2スロット占有とかいわれることがあります。
これはビデオカードの厚さと考えて構いません。自作PCケースの拡張スロットをいくつ占有するかということです。
これも長さと同じで、性能が低いビデオカードはほとんど1スロット占有ですが、性能が高くなるにつれて2スロット占有になります。
ロープロファイル
スリムタワーなど横幅が狭いPCケースにも取り付けができるサイズです。
ビデオカード以外でも横幅の短いタイプの増設ボードは、ロープロファイル対応といいます。
性能が低めのビデオカードでは、ロープロファイル対応が多くあります。ロープロファイル対応のビデオカードは、専用の金具が同梱されていて付け替えることで、通常サイズとロープロファイルの両方に対応できます。
ただしこの場合は、ロープロファイル対応にすることで 1スロット占有が2スロット占有になることはあります。
ファンレス
ファンレスのビデオカードというのは、冷却ファンの付いていないものです。
ファンの音がないので、無音になります。静音化したい場合に使用されます。
ただしファンレスは冷却に限界があるため、ビデオカードの性能が高くなるにつれファンレスのビデオカードを見ることはありません。
また冷却用のヒートシンクが大きくなることがあるので、2スロット占有になりがちです。
メーカー
ビデオカードは、GPU部分はNVIDIA社とATI社が製造・販売しています。
ビデオカードの各メーカーは、GPUの提供を受けてビデオカードを製造販売しています。
有名なところでは、マザーボードも手がけている ASUSTEK(アスーステック)、GIGABYTE (ギガバイト)、MSIがあります。
他にSAPPHIRE (サファイア)、 GALAXY (ギャラクシー)、ELSA (エルザ)、LEADTEK (リードテック)、玄人志向(くろうとしこう)などがあります。
同じGPUでも、ファンやヒートシンクなどのデザインや構造、グラフィックメモリー搭載量などが異なりそれぞれオリジナルティーがあります。